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Toggle遺言書を作成したあと、相続人・家族に見せるべきか
これは弊所の経験値を含めて、の記載になります。
「遺言書を作成したあと、相続人・家族に見せるべきか?」とよく聞かれます。
これは遺言を作成した本人は「せっかく遺言まで作ったんだから、先に家族みんなに理解していてほしい」という気持ちの表れ。
「私が死ぬ前に皆理解してくれ」、と。とてもこの気持ちも分かります。
作成した本人はある意味、遺言作成直後などは特に清々しい気持ちもありますし。
本当に頑張ったし、誰かに話したい、という気持ちもあります。
遺言を生前に見せられた相続人が怒鳴る場合も
では、遺言書を生前に見せられた側はいかがでしょうか。
…もらえる人は素直に嬉しいでしょうし。
もらえない人は、その時点から…確実に嫌な思いをするでしょうね。
財産をもらえない方としては、「○○に家も預金も相続されるのか…」とふと思うようになります。その後の家族関係は…まあ、想像つきますよね。
結果、なんとなく実家への脚が遠のいたり。帰りにくくなったり。会いたくなくなります。
そして、もやもやして、数年は過ごさなくてはならなのです。
最悪、遺言を撤回する羽目になるケースも
遺言を相続人に生前に見せてしまった家族で、中にはこれだけでは済まないケースも見てきました。
「なんで、お父さん、こんな遺言書いたの!?誰に書かされたの!!?」と遺言を作成した親を強く直接責める人。
また、作成に関係ない兄妹等に対しても、今までの家族関係から疑心暗鬼になり、
「お前が書かせたんだろ!!!!」と怒鳴り散らすケースも。
こうなると、強く責められてしまった遺言作成者本人は
それこそ、家族のこの状況を回避したくて「そんなつもりで作ってない」「私はあんまりこの時を覚えていないんだ」と…言うしかなくなってしまうこともあるのです。
そして、その後、大半はその責められる状況から逃げたくて、
せっかく作成した遺言の撤回をしたケースも…。
(本当に覚えていなくて本人の意思と異なるのなら、すぐに撤回をしてください。)
でも、これが公正証書であると公証役場に確実に本人が出向いていること、公証人の面前で内容を確認し、署名していることもあり、本人の作成の意志は確実に確認されているので、そうそう作成者本人は「覚えていない」とは言いにくい状況なのですけど。
(私達のような士業も、しっかりご本人様から「委任状」と書いてもらって遺言作成業務をしていますので、遺言者様本人と対面して、本人の口から希望等をヒアリングしていますしね)
でも、こんなことになると、
「…あまり覚えていないんだ」と【言い訳】をするしか、身を守れない状況’になってしまうのです。
遺言は作成者の意思。周りがとやかくいう事ではない
遺言を作成するのは大半が高齢者です。
70代、80代~の高齢者の方が無駄に肩身を狭くなる思いをしてほしくないし、する必要もありません。
自分の築き上げた財産の行方を決めるのに否定されるなんて…遺言を作成サポートしてる身としては耐え難いです。
家族から怒鳴られる必要もないのに嫌な思いなどしてほしくないのです。
作成した遺言書をそれでも見せるなら、覚悟を決める
このような経験から弊所としてはいつも
「見せなくていいと思います。それでも見せたいのなら、家族関係に影響が起きるかもしれないことを理解して、ご自身で判断してくださいね。遺言の置き場所も注意してくださいね。」とお話ししています。
公正証書なら、亡くなった後で各種証明書を用意することで
相続人が生前に遺言を作ったのか検索をすることもできますし、写しも再発行してもらうことができます。
だから大丈夫。保管・管理は「きっちり」してください。
(でも銀行の貸金庫だけには入れないこと※銀行の凍結とともに貸金庫も簡単には開錠できなくなります)