亡くなった方(被相続人)に大きな借金があり、その他未払いの医療費や税金等も含めた債務を一切払う気がない場合は

被相続人の住所を管轄する「家庭裁判所」に「相続放棄」の申し立てをしなければなりません。

なお、必要書類の相続放棄申述書の提出は郵送でも可能です。

相続放棄の手続き

1.必要書類

申述先:被相続人の最後の住所地の管轄家庭裁判所(八王子なら立川支部)

費用:収入印紙800円分(申述者1人につき)、郵便切手代

必要書類:

相続放棄申述書

申述人の戸籍謄本

被相続人の戸籍謄本等(除籍等死亡したことがわかるもの)

被相続人の除票   等

2.相続放棄の手続き

これらを提出後、1週間ほどで家庭裁判所から「相続放棄の申述についての照会書」が送られてきます。

これは、本当に本人の意思で相続放棄をするのか、の本人確認のものです。

場合によっては他人が勝手にだしたり、脅かされてするものであったり、財産内容を全く知らなかったり、ということがあるからです。

この照会書の質問事項に答え、家庭裁判所に返送後、

内容に問題がなければ相続放棄「受理通知書」が郵送されてきます。

これにより相続放棄が認められたことになります。

こうして今後、亡くなった人の財産に関する書類への署名捺印や借金の請求から抜けられることになります。

もし、借金返済や債務負担の請求が来た場合には

この相続放棄申述「受理通知書」のコピー(再発行できないので)を見せれば、債務を負担する必要はありません。

これで納得しないならば、少しタチの悪い業者だといえます。

念のために家庭裁判所へ相続放棄申述「受理証明書」をもらっておくとよいでしょう。

(こちらは申請すれば発行してもらえます)

3.相続放棄における注意点

相続放棄をしたあとでよく問題になるのが「相続順位」が変わることです。

子どもが全員放棄した場合、相続人が亡くなったその人の親になります。

その親がすでに亡くなっている場合には、亡くなったその人の兄弟や甥姪が相続人になってしまうのです。

いつの間にか親戚の借金をかぶることになった、となるので

相続放棄をすることについて話しておかないと親族間の関係を壊すことになりかねません。

そもそも、相続放棄とは

相続放棄とは亡くなった人の財産を

プラスもマイナスもすべて放棄するということです

ですので、ご相談者様がよく言うのですが、“一部放棄”というものはありません。

なにかの財産名義変更や解約に関しては、必ず署名捺印と印鑑証明書が必要になります。

手続きとしては、原則、被相続人が亡くなってから3か月以内に

亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に放棄の申し立てをします。

そして放棄の取り消しは、まずできません。

ですので勘違いや、「しまった!後から多額の財産が見つかった!」となっても遅い。

早い話が『その亡くなった人の財産や手続き書類になにがあろうと今後一切関わりたくない!』

という場合以外すべきではないのです。

絶対に気をつけなければいけない、かなり多くの方が間違えている事例をご紹介します。

相続放棄の手続き

全部お母さんにもらってほしい

「お父さんが亡くなった、お母さん大変だったね。

お父さんの財産は全部お母さんがもらえるように私たち子ども全員放棄するね。」

アウトです。

配偶者が相続できるのは当然ですが、

子どもが全員相続放棄すると、初めから子供達がいなかったことになり、

相続順位が移動、相続人は配偶者と被相続人の親、親がすでに亡くなっていれば被相続人の兄弟になります。

奥さんと義理のお兄さんたちとの話し合いです。

義理のお兄さんが亡くなっていればその子、いわゆる義理の甥姪たちです。

これはそれまでの親族関係にもよりますが、かなり面倒なことになりそうです……

お父さんが借金していたので放棄

「お父さんが多額の借金をしていた!まずい、急いで家族みんな放棄しよう!」

アウトです。

まず理由のひとつとして、財産全てなので家も手放さなければなりません。

でも賃貸でしたり、別に暮らしていたなら大丈夫ですね。

問題は次です。

先述したとおり、相続放棄をすると最初からいなかったことになり、

同様に被相続人の親、もしくは兄弟たちが相続人となり、借金を背負うことになるのです。

相続放棄をするならば親族全員でしなければ最終的に誰かが被ることになります。

放棄をすることを伝えなければいけません。

やはり生前からの親族の関係が重要になるということですね。

結論;

亡くなってから相続放棄の準備することになりますが、

財産を把握したり、戸籍や住民票等書類を集めたり作成するのに3か月以内というのは本当に短いです。

再度言います。

『その亡くなった人の財産や手続き書類になにがあろうと今後一切関わりたくない!』

という場合以外すべきではないのです。

もし、これをご覧になった方は

上記のように勘違いでの相続放棄は当然、一部放棄というのはないことも含めて

周りで身内をなくされた方に伝えていただけると幸いです。

私たちの事務所でもお受けできます

司法書士の先生と組み、その案件に必要な相続放棄の資料・情報を収集し
連携して相続放棄の申請が可能です。

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