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Toggle一般の方がやりがちな相続手続
手元にある通帳やキャッシュカードの口座だけを解約しがち
誰かが亡くなって相続手続きをする時に、同居していて通帳も持っている家族ならば、亡くなった人の口座や記帳すればすでに残高もわかっているはずなのですが、我々はその方の残高証明書を改めて取得しています。
一般の方が相続手続きを行うと、大概は、残高証明書を取得せずに進めてしまいます。
特に亡くなった方が、「終活していた方」であると、口座数を少なくしているケースも多く、相続人も「これしかないだろう」と手続きを進めがちになってしまいますが、それは、亡くなった本人的には「普段使いの口座をまとめた」だけで、その他の口座(例えば当座預金や定期、その住所に引っ越してくる前に住んでいた土地で作った口座等)が残っていることも多くあります。
また、亡くなった本人も、古い昔の口座の存在自体を忘れていることだってあり得るのです。
結果、相続人が窓口で手元にある通帳やわかっている銀行口座番号だけを書いて申請したことで、その金融機関によってはその「記入した番号の口座のみ」の解約手続きになってしまいます。
これが、後々解約されていない口座を残してしまう事や、手続き不明な財産、休眠口座として残されていきます。
そして、ずっと後で我々のような相続の専門家が入った時に判明することがあるのです。
実際、相続のお手伝いをしていると、他にそんな預貯金があったの?ということは多く、それこそ、我々が調査したことで見つかった際には、相続人の方から喜ばれることもしばしばあるのです。
財産漏れのあった過去の例
過去例を以下に上げておきます
・おそらく被相続人の親が作成したであろう銀行口座(子どものころに作ったなど)
・通帳の繰り越しがあったことで漏れていた定期預金口座
・検索を過去の住所でもおこなったことで見つかった「登録住所の異なる」銀行口座 等…
相続で残高証明書はとるべき
なぜ、残高証明書を取得することが有効なのか
相続手続で銀行の残高証明書を取得する理由は、被相続人(亡くなった方)の死亡時点の預貯金額を確定し、相続財産の評価や遺産分割、相続税の申告に必要だからです。銀行口座の資産状況を正確に把握するために求められます。
相続手続で銀行の残高証明書を取得するメリットは以下の通りです。
1. 相続財産の正確な把握ができる
- 被相続人(亡くなった方)の死亡時点の全口座と預貯金額を明確に確認でき、遺産分割の基礎資料になります。
2. 相続税申告に必要な証拠となる
- 相続税の申告では、死亡時の預貯金額を正確に申告する必要があります。残高証明書は税務署への添付資料となります。
3. 相続人間のトラブルを防げる
- 口座残高を客観的に証明できるため、「亡くなる前や後に引き出されていたのでは?」といった疑念を防ぎ、スムーズな遺産分割につながります。
4. 銀行の相続手続きがスムーズになる
- 銀行口座の名義変更や解約の際、残高証明書による口座確認ができ、事前に取得しておくことで手続きがスムーズに進みます。
5. 債務の確認ができる
- 万が一、その銀行で被相続人が口座に借入金や未払いの負債を抱えていた場合、残高証明書を通じて確認でき、相続放棄や限定承認の判断材料になります。
6. その銀行に持っている口座や財産を全部洗い出した、という公正な証明書になる
- 隅々まで検索したという証明にもなり、代表相続人(手続き代表者)にとってもお守りになります。
残高証明書を取得する理由として一番大切なのは「公正さ」
残高証明書の取得は、表向きは上記のように相続手続の為に必要、相続税の申告に必要ということもありますが、
なにより、自分以外の他の相続人に対して、正しく相続手続をしているよ、という表明になろうかと思います。
弊社の場合、遺産分割の前には全相続人へ財産を開示するようお話をしています。
その根拠になるのが、各銀行が発行する残高証明なのです。
特に、親がちがったり養子縁組が絡んだ兄弟など、複雑な相続人がいる場合は残高証明書を取得して、開示することで後々の手間やトラブルを防ぐことに有効であると、経験上確信しております。
少しの疑念やボタンの掛け違いで、揉め事に発展しがちな相続です。誠実に、公正に行っていくことを心がけましょう。
弊社では残高証明書の取得を含めた相続手続一式(詳しくはこちら 「実印2回相続」)をお引き受けしています。
各相続人のご負担を減らすことを第一として行っていますので、お気軽にご相談ください。
残高証明書を取得しないデメリット
ちなみに、相続手続で残高証明書を取得しないデメリットは以下のようになります。ご参考までに。
- 相続財産の正確な把握が困難
- 口座残高が不明確なままだと、適切な遺産分割ができない可能性があります。
- 相続税申告で問題が生じる
- 相続税の申告では、被相続人の死亡時点の財産額を正確に報告する必要があります。残高証明書がないと税務署から指摘を受けるリスクがあります。
- 相続人間のトラブル発生
- 口座残高を正確に把握しないと、遺産分割の公平性が損なわれ、相続人間のトラブルの原因になる可能性があります。
- 銀行手続きの遅延
- 銀行から相続手続きを進める際に、死亡時の残高証明が必要な場合があり、取得しないと手続きがスムーズに進まないことがあります。